ごあいさつ

MESSAGE

河野 茂

国立大学法人 長崎大学 学長

河野 茂 shigeru kohno

被ばく医療科学分野の世界的人材育成を目指して

本来長崎の願いは、「我々が最後の被ばく者となる」ことであり、被ばく医療は長崎、広島の原爆被爆者への医療で完結するのが理想でした。しかし、私達が長崎で黙々と積み重ねた知見は、結果として本来あってはならない放射線災害において大きな役割を果たすことになりました。それが1986年のチェルノブイリ原発事故、そして2011年3月11日の東日本大震災に続く東京電力福島第一原子力発電所事故です。福島での原発事故直後から現在まで6年半の間、長崎大学は福島県下の医療体制維持に協力すると同時に、緊急被ばく医療体制の構築や県民健康調査立ち上げなど、福島県立医科大学と緊密に連携してきました。

「災害・被ばく医療科学共同専攻(修士課程)」は、長崎大学と福島県立医科大学の共同大学院として平成28年度に設置されましたが、これは事故によって明らかになった「災害・被ばく医療科学分野の専門家の圧倒的な不足」に対して、本分野に携る人材の育成を目的として立ち上げられたものであり、これまでの両大学の連携事業が具現化されたものです。

しかし本来被ばく医療は、原子力発電や放射線利用の開発、推進と並行して備えるべきものです。その意味で、長崎や福島の経験を共有すべき対象は世界中に存在します。本専攻では、アジア諸国をはじめとする本分野のグローバル人材育成を目的として、留学生に対しては英語による講義、実習を行っています。国際放射線防護委員会(ICRP)の副委員長であり、放射線防護分野の世界的権威であるジャック・ロシャール氏を本専攻の教授として招聘し、学生の教育、実習にあたってもらっているほか、国際機関での豊富な経験を有する講師陣を配しており、グローバルレベルの教育を行っています。

現代社会において我々は、放射線のみならず種々のリスクと向き合っています。本専攻では、両大学の緊密な連携のもと、国内外で活躍できる放射線健康リスク専門家を輩出していきたいと考えています。私はそれこそが、原爆、そして原子力災害を経験した長崎、福島の歴史的使命であると確信しています。

竹之下 誠一

公立大学法人福島県立医科大学 理事長兼学長

竹之下 誠一 seiichi takenoshita

自然災害、原子力災害、複合災害において専門家の果たす役割を考え、行動できる人材を育成する

本学は東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、現在まで、常に被災者と共に歩み、健康と医療の面から福島の復興を支えるべく全力を尽くしてまいりました。

震災直後、原子力災害に加え大規模複合災害における医療の専門家の果たす役割とは何か、どのような医療が必要か、どのような放射線の知識が求められるのかといったことを考え、リーダーシップを取って行動できる人材はごくわずかでした。さらに、災害の急性期から慢性期に移行するにつれ、被災地福島では、避難先の各コミュニティでの健康の見守りや、健康指導、住民の不安への対応、専門家と地域や自治体との効果的な連携構築など、コミュニケーションの場づくりと実践が出来る人材が求められていますが、そのような人材もまた絶対的に不足しています。
復興への取り組みを長期にわたり持続し、同様の災害が起きた時、福島の教訓を活かして適切な対応や行動ができる人材を継続的に育成することが本学の使命であり、いまや必要不可欠となっているのです。

そこで、長崎大学と本学は、2016年4月、原子力災害を含めた様々な災害に長期にわたり適切に対応できる人材の育成を目的に、共同大学院「災害・被ばく医療科学共同専攻(修士課程)」を開講いたしました。被ばく医療学・放射線リスク学で実績を持つ長崎大学と、東日本大震災を経験し災害医療分野での実績を持つ本学の、それぞれの大学の特長を活かしたカリキュラムにより、災害の現場と災害後の復興を支える人材育成に取り組んでおります。
現在この共同大学院には、保健師や看護師、消防士など多彩な職業の方が入学し、学んでいます。それぞれの職の専門性に加え、災害・被ばく医療科学分野の幅広い知識を得ることで、将来、危急時にその力を発揮できるプロフェッショナルとして活躍することが期待されます。どのような災害であっても復興に必要な最大の力は「人材」です。災害時、災害後の復興を医療の面からリードする人材になるべく、ぜひこの共同大学院を活用ください。

山下 俊一

長崎大学理事・副学長、福島県立医科大学副学長

山下 俊一 shunichi yamashita

非常事態や複合災害に備える特色ある学びを。

科学技術の進歩に支えられて発展を遂げている現代社会は、常に未知のリスクと隣り合わせの状況にあります。2011年の福島第一原子力発電所事故以来、福島復興に向けて協力してきた長崎大学と福島県立医科大学が、2016年4月、医科学と保健看護学に特化した共同大学院(修士課程)を創設します。

今後、日本国内だけでなく、アジア諸国をはじめとする海外においても、原子力災害や放射線事故に対する備えと対策は喫緊の課題です。本専攻では、非常事態や複合災害に備え、自然科学と社会科学を基盤としたリスク規制科学を学ぶことができる特色ある修学環境と指導体制を有する両大学が双方の経験と強みを発揮し、災害・被ばく医療科学の現場と被災からの復興に不可欠な人材を輩出します。

共同大学院履修モデルコース
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